親愛なるユイ姉さん。バーチャル蠱毒に舞い降りたその人について。


ここ数日、一部界隈を賑わした通称「バーチャル蠱毒」こと正式名称「最強バーチャルタレントオーディション~極~」。私はこの熾烈な競争の中で、一つの輝きに魅了されている……それが「ユイ姉」さん。

このエントリを読む気が無い人は、とにかくユイ姉の放送を一度聞いてください!
アーカイブは12/9日までの公開……、聞いたり保存したりするのは今しかないのです(汗)

過去アーカイブ https://www.youtube.com/channel/UChso0ZR4LK3I8-O9CbybMiA
SHOWROOM https://www.showroom-live.com/yui-005 

聞けばヤバさが分かるはずです。
もっとずっと、これから先もユイ姉のお話を聞きたいのです。
なので、ユイ姉の応援お願いします!。


バーチャル蠱毒を知った当初はこんな感じで酷いなぁとか、怖いなぁとか思いながらも傍観しようと考えていたのでしたが、候補者たちが自らあだ名を名乗り始めたり、消えたくないと言葉をつづったりしているうちに、どんどんとこの企画に興味を惹かれていくのでした。

そして何人かの候補者の配信を聞きつつ、最後に聞いてみたのが「結目ユイ」の候補者5番――「ユイ姉」――の配信でした。その時の私のとっさに出た感想がこちら。

とんでもなかったのです。他の候補者さんの多くは、ユーザーのコメントを拾って会話するだけのことも多いのですが、ユイ姉さんの配信は全然違いました。知的好奇心をド直球に刺激してくるのです。正直、ここまでの人がなぜ「バーチャル蠱毒」なんかにいるんだ!?!?と混乱しました。

私はその日、ユイ姉による森鴎外『高瀬舟』の朗読解説が終わった直後くらいに聞き始めたのですが(……そもそも『高瀬舟』の朗読だと!? なぜその選択なんだ!? と思ったわけですが)、ユイ姉さんは「最近読んだ本を紹介したいと思います」と前置きした後に『AI vs. 教科書が読めない 子どもたち』を取り上げ始めたのです!

この本は私の書架にもありますが、NIIの研究者である新井紀子氏が人工知能の研究をする過程で、人間の思考・理解力を探ってみると、少なくない人間が短文を理解できていないことに気づいたというセンセーショナルな発見を主軸に、理解することの重要性を説くのですが……と、ともかく、Vtuberの公開オーディションでこの本の話題が出るのか!と驚いたわけです。

しかもBGMはユイ姉さんの自作曲。配信のEDで生歌を披露されましたが、これも自作曲。なんて多才なんだ!! しかも、彼女自身も執筆活動をしており、後にそれを朗読するという!!

私は別にVtuberをナメていたわけじゃ決してありません。ですが、今主流のVtuber、ひいてはYoutuber全体の雰囲気は、どちらかといえば軽いバラエティ番組のような、感覚的な娯楽が多いように感じていましたし、今でも感じています。

それらも私は否定しませんし好きですが、「ユイ姉」は他の誰とも全然違うのです。その清らかな声はまるでFM放送のアナウンサーのよう。そして次から次へと展開する話題は、科学技術、文学、政治、経済、ゲーム、アニメまで。決して生半可な知識のひけらかしではなく、そこにいるのは純粋な知的好奇心と探究欲にあふれ、確かな経験と知識に基づいて語り掛けてくれる、5人の弟を持つ優しいお姉さん「ユイ姉」なのです。

おおよそ、これこそが教養と芸能だと感じたのです。

ユイ姉さんは確かその時の放送で「見てもらった人がタメになるような放送がしたい」と話していたような記憶があります。そうなのです、彼女の優しくて弾むように語り掛ける声は、学ぶ喜び、知る喜び、芸術を愛する喜びを教えてくれるのです。

彼女のことは放送やTwitterでしか知りません。今は大学で物理学や計算機などを研究しているようですが、物語とゲームが大好きなようです。小説を執筆して、オリジナル曲を作曲をして、中学生のころに英語で『方法序説』(ルネ・デカルト)を読んだ感想を話したり(ユイ姉曰く、翻訳と原典では単語の意味がズレたりして哲学を学ぶ上では障壁になるが、英訳はズレがすくない。原典を読みたいこともあり、フランス語も勉強中)、桜桃忌に盛り上がるのはいいが隣の森鴎外の墓を荷物置き場にするなと釘を刺したり、彼女が大好きな量子力学の観測問題やポケモン不思議のダンジョンをキラキラと語る、、、と、ほんの数日放送を聞いただけですが、ユイ姉の魅力は語っても語り切れない感があります。

だから私は応援したいし、これからもお話が聞きたいのです。

 

最後になりますが、バーチャル蠱毒について、何だこの企画、やべえな、と感じましたが、登場プレイヤー、そしてそこからつむぎ出される物語が奇跡のようにすごいのです。「ユイ姉」の他にも、ルールを熟知して風向きを変えた「九条林檎」の5番、運営に反抗する「黒しらす」、「未来でまた会おうね」と、「ユイーン」に挨拶をして去った「クロミぜろつー」、そして勝利を誓う「ユイーン」、留年をかけてレポートを書き上げる「九条林檎」の8番などなど。参加者みんなが愛おしいのです。

セリフもト書きもない、リアルなオーディションだからこそ生まれたであろう、奇跡のような舞台なのです。ある人が、この企画参加者をまとめたリストを「バーチャルペトリ皿」と命名していましたが、いい得て妙だとも感じました。生命の進化やドラマは偶発的に起きるし、それこそが生物だと感じるのです。そして、このオーディションの参加者のほとんどは、死が運命づけられているのです。ですが、クロミゼロツ―は転生を予言して消えましたし、「ジョア」は結目ユイたちが戯れる姿を愛するのです。

ですが、それは実現し得ないのです。終わりは刻一刻と迫っているのです。参加者たちの存在や記録は消え、その姿は我々の記憶の中だけに残るのです。

私はここに、ギリシアの「死すべき人」と「不死なる神」あるいは中世ヨーロッパの「死の舞踏」、もしくは極楽浄土、そして輪廻転生を感じさせられるのです。ギリシア語で魂を表すプシュケーとは、息に由来し、その息が作りだすのは、吹き込まれる声なのですから。例えば、映画『空気人形』で人形が魂を持ったのも、息を吹き込まれたからにほかなりません。だから、Vtuberの中を「魂」と形容しているのも当然なのかもしれません。

未来でまたみんなと会えることを祈って。しかし願わくば、この楽園が永遠に続けばよいのにと思いながら。


【おまけ】なぜバーチャル蠱毒が生まれたのかについての私見

詳しいことは末尾の参考URL先に譲りますが、この企画を簡単に説明すると、芸能事務所、配信事業者、画像交流プラットフォーム三社が共同して行うバーチャルタレントのオーディション企画です。

SHOWROOMでは、以前から似たような形式で(普通の/生身の)アイドル公開オーディションが行われているようですが、普通のアイドル候補生であれば、当然、生まれ持った顔と名前があるわけですし、蠱毒なんかにはならないわけです。

ですが今回は、キャラクタと魂(演者)が分離不能な性質を持つバーチャルタレント(いわゆるVtuber)であるにも関わらず、そのアイドル候補生選抜と同じような選抜方法を取ったようなのです!(※) そのために、「アイドル公開オーディションの手法」×「Vtuber」が掛け合わさることによって幸か不幸か「蠱毒」と化してしまったのでしょう。
(※オーディション極の注意事項には「・金銭、物品、その他プレゼント(チェキ、お礼カードなどは除く)を視聴者に贈り応援を促進させる行為は禁止します。」とう項目があることから分かる。Vtuberのチェキって一体何なんだ!?)

でなければ、九条林檎の5番さんがNDAを交わしてないといい始めたりすることもないでしょうと思ったわけです。

【参考URL】
オーディション極について
・オーディション募集ページ https://avatar2-0.com/kiwami/
【バーチャル蠱毒】「同じ顔と名前のvtuberが一斉デビューし負ければ消滅」前代未聞のオーディションに「デスゲーム?」「怖すぎる」

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