一太郎プラチナなどの買い切りフォントの詳しい使用許諾範囲について

2021/12/17

私は評論系の同人誌を作成しているのですが、フォント(書体)が結構大事だなと思ったりしています。学生時代から長い事、Adobeに付属していた小塚系書体を使っていたのですが、数年前にせっかくだし良いフォントに乗り換えてみようかと思ったときに、サブスクリプション系のサービスは結構高いのでどうにか、買い切りで使えないかなと思って豪華特典フォントのついてくる一太郎プレミアムや一太郎プラチナを購入しました。

ですが、その後、画像や映像への利用に際して(例えば新刊を宣伝する画像を作ってもよいのか?、友達の本を紹介するための画像を友達のために作っても良いのか?など)、使用許諾範囲に不明確な点があったため、問い合わせたりした結果分かったことがありましたので、ここに公開しようと思います。

ただし、一太郎は年度ごとにパッケージが更新される仕組みであるため、この情報は主に既存ユーザーの方向けだと思います。
また、それとは別に、ブラザーのフォントと、ダイナフォント、イワタの詳しい許諾範囲についいても分かったことを記載します。

※記載内容は2021年12月に問い合わせた情報であり、より新しいバージョンや記載していないバージョンについては保証しません

1.一太郎に付属するフォント

ジャストシステムが販売しているワープロソフトの「一太郎」は、標準でC&G社のフォント(AR~というフォント名)が付属しており、また「プレミアム」や「プラチナ」というバージョンでは、様々なフォントベンダーのフォントが別途、高品位フォント(搭載フォント)として付属します。
前提として商用利用は可となっていますが、標準付属フォントと、高品位フォントでは契約上の詳細な取り扱いが異なっています。

(1)標準付属フォント
標準付属フォントは、一太郎の使用許諾契約書に定める「フォント及びクリップアート」の使用許諾条件に従います。この場合、「印刷版下の作成、印刷、表示等の方法により複製(出力)することができます。」という使用条件に加え、「印刷物制作受託サービス業等、お客様が第三者への制作物の提供を業として行う場合(中略)使用することはできません」と定義されています。

この時、より詳しい使用許諾条件についてジャストシステム社に筆者が問い合わせた際の回答としては、C&G社の回答を別途得てほしいというものでした。そこで、筆者が別途C&G社に問い合わせて得た回答として得たのは以下の回答でした。

・(動画や画像、WEB用途について質問した際の回答として)動画や画像への利用に関しては、C&G社の定める「ソフトウェア使用許諾契約書」に従う。

使用許諾契約書を読めばわかりますが、画像への利用はOKですが、映像への利用は別途許諾が必要であることが分かります。受託制作物への利用についてもC&G社の定める使用許諾契約書では、一次使用権の範囲において可となっています。ジャストシステム社の見解では、フォントについてはベンダーの意見を優先する姿勢でしたので、受託制作物への利用でも問題はない可能性がありますが、それ以上の詳細は未確認です。

(2)高品位フォント(搭載フォント)
高品位フォントについては、ジャストシステム社からの回答として、一太郎使用許諾契約書に定める「フォント及びクリップアート」の定める事項よりも、個別のフォントに関して示す使用許諾の説明が優先するとの回答を得ました。

この時、個別のフォントの使用条件においては受託制作物に対する利用については特に記載がありませんが、この点については、記載がない状態であることをもって受託制作物への仕様を禁止しない旨であることをジャストシステム社から回答を得ました。つまり、高品位フォントについては、個別のフォントの使用条件に受託制作物への使用を禁止する旨が無ければ受託制作物への使用が可能というわけです。

次に、各ベンダーによっては使用許諾条件が曖昧であったり、文書やPDFへの使用のみ記載されているために、詳細に調べた結果が次の通りです。

・フォントワークス社(一太郎2017、2021など):広範で詳細な使用許諾範囲が記載されているため、これに従う。概ねLETSの許諾範囲と同一(個別に許諾範囲を問い合わせていません)。
・モリサワ社(一太郎2020等):モリサワの回答としてはジャストシステムの示す使用許諾にのみ従ってほしいとの回答。ジャストシステムの回答として「画像に文字を合成して使用する」「動画のテロップなどに使用する」は可であり、判断に迷った場合はジャストシステムにて個別に相談してもらうことも可との回答。
・大日本印刷社(一太郎2019等):映像への利用、ゲームソフトへの利用、画像への合成、製品ロゴへの使用、印鑑の作成などは可。ただし、ロゴを商標・意匠登録することは禁止。また、フォントデータそのものを第三者が利用できる形で埋め込むのは不可(概ねモリサワパスポートと同一の条件)。

つまり、ジャストシステムのウェブサイトには詳細が記載されていませんが、実態としては一太郎付属の高品位フォントは(少なくとも上記各社については)、各フォントベンダーが直販で販売している場合の使用許諾条件にほぼ等しい状態で使用できることが分かります。特に、映像利用、画像への利用は、ジャストシステムのサイトには記載がありませんが、実際は可というのは非常に利便性が高いと考えます。

また、モリサワのフォントについては、ジャストシステムのサイト上にて「事実もしくは思想・感情の表現手段として利用すること」が許可範囲とされており、この文言はモリサワパスポート等の製品と同じ記述であるため、おそらくモリサワパスポートの許諾範囲に近いのではないかとも推測できます(あくまで推測です)。

ただし、一太郎の高品位フォントの注意点としては、独特なフォント名が付けられている点があります。例えば「リュウミン」は一般的には「A-OTF リュウミン」というフォント名で販売されますが、一太郎に付属しているものは「MJ-リュウミン」というフォント名になっています。つまり、ほかの人(モリサワパスポート等を契約している人)とデータをやり取りする場合、フォント名が異なる事で問題が生じる可能性があります。

なので、プロユースでフォントを使いたい場合は、素直に各社が直販しているフォントを買ったほうがいいと思います。ですが、同人誌などを個人製作している場合にはあまり関係ないとは思います。

2.ブラザー社のプリンターに付属するフォント

ブラザー社の販売するプリンターには、ブラザー社が製造したフォントが、ドライバCDの中に添付フォントとして付属しているケースがあります(ありました?)。例えば、和桜明朝や、美杉ゴシックといった書体が該当します。

これについて詳しい使用許諾が示されていなかったので問い合わせた結果、使用許諾の範囲は少なくとも以下の場合許可されることが分かりました。

・商用、非商用を問わず、印刷物、PDF、VTR、ウェブサイトに掲載する画像に、使用することは可

ブラザー社の添付フォントもかなり広範な使い方が許可されることが分かりました。私はずいぶん前に購入したプリンターにフォントが付属しており、いまでも愛用しているのですが、改めて確認したところだいたいの個人ユースや同人誌作成では大丈夫なことがわかり安心しました。

3.ダイナフォント社のフォント

ダイナフォントについては、以前は買い切りライセンスを販売していましたが、いまはサブスクリプション限定となっています。ですが、格安で利用できるプランが今でもあり、同人誌作成では強い味方なのではないかと思います(自分は買い切り版を以前買っています)。

ダイナフォントの使用許諾の範囲は、以下の通りになります。
https://www.dynacw.co.jp/business/licensing_usage.aspx

この時、一番安いプランや、買い切り製品では、印刷物に値するPDFは可で、電子書籍が不可、自己のWEBデザインが可で、デジタルコンテンツが不可という状態になります。これについて、ダイナフォント社に問い合わせた結果が次の通りです。

・PDF化したデータは可
・フォントデータを格納したEPUBのような「電子書籍」は不可
・自分自身が所有するウェブサイトのデザインに利用するのは可
・SNSへの投稿画像や、単品の画像販売は「デジタルコンテンツ」に該当するため不可

PDF化したデータについては、それが本や小冊子の内容であったとしても「印刷物に値するPDF」であるため可という回答でした。

SNSに投稿できないのだけがちょっと注意が必要ですが、本を作るうえでは特に問題ないと思われるので、活用の利点はかなりあると思います。

4.イワタ社のフォント

イワタ社は、TrueTypeフォントであれば8000円程度から販売しており、単体で使いたいフォントがある場合にとても便利なサービスだと思われます。

この時、利用規約は下記に準拠します

この際のより詳細な利用許諾範囲についてイワタ社より得た回答は次の通りです
・動画に合成して作成した動画データは、販売、配信、放送に利用可
・画像に合成して作成した画像データは、WEB掲載、SNS投稿、販売可
・PDF化して、そのPDFを販売したりWEBに表示することは可
※EPUBの場合は別途許諾が必要な場合があるため詳細連絡必要
ということで、イワタの書体もかなり広範な利用が可という事が分かりました。

5.むすび

フォント類は規約があいまいなケースがありましたが、きちんと調べてみると常識的な範囲内であれば結構いろいろ使えることが分かりました。
一太郎(や付属する高品位フォント)のファンや、ブラザーのプリンターのファン、ダイナフォント、イワタのファンにとってはうれしい結果なのではないでしょうか。

特に一太郎は、紙媒体や、PDF配布にフォーカスした許諾範囲を明示的に示していましたが、同人作家などの利用では作成した紙媒体やPDFの宣伝に画像や映像を使ったり、SNSに投稿したりすることがよくあると思います。
ですが、結果的に、そうした宣伝行為や、その他の創作物への利用についても基本的にだいたいOKという見解が得られたため、全方位に向けた創作活動に利用できるのではないでしょうか。
ということで、各フォントベンダーおよび、ジャストシステム社、ブラザー社、ダイナフォント社、イワタ社に感謝して、いろいろな創作活動にフォントを活用させて頂こうと思います。

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