みなさんこんにちは。あしやまひろこです。
以前「わいせつ物」の確認が公的機関でできると令和6年(2024年)3月22日Twitterに書き込みを行ってバズりましたが、あれから9か月の時を経て法務大臣から法的義務を負った見解を引き出すに至ったのでご報告いたします。
(初稿公開日2024/12/26)
初見の人や分からない人、法学に関心のある人へのまとめ
今回の裁判やその前段階の手続きとは、簡単に言うと、公証役場で「私書証書の認証」という方法を用いると、国が私文書の内容を審査して、そこに書かれていることが合法か違法かを判断する義務があることを発見した、ということになります。
そして、私はずっと昔からエロが好きで、漫画にしろ実写にしろ、精巧に作られた作品が「修正」されることに心を痛めていました。なので、個人的に2030年迄にどうにかしてしまおうと思っていたところ、2024年に画期的だと自負している方法を発見してしまったという話です。
この話の何が嬉しいのかというと、まだ判例のないことや、警察が取り締まるのか取り締まらないのかよく分からないこと(これはITの新技術にも応用できる)について、まだやってない段階で国に合法か違法かの見解を問うことができます。
そしてもし国が「合法」と判定したならば、安心してそこに書いてあることが出来るようになりますし(なぜなら国が一度合法と言ってしまった以上、同じ国である警察が違うことを言うのは禁反言の法理的にアウトだし、仮にあとから犯罪だと判断されても実施時点では国による適法性判断があったのだから、違法である認識は成立し得ないので「故意」がなくなり、結果的に逮捕されたとしても絶対に無罪になるし、おそらく公証済み文書を出した瞬間に釈放される。)、もし国が「違法」と判定したならば、その判定は間違っていると裁判所に対して行政訴訟を提起することによって、行政内部ではなく司法の場で、まだ起こってないことやあやふやなことを司法で審査させることが出来る、という話です。
そして私はすでに2種類の性質の異なる文書の認証の依頼をしており、1つは公証役場で「適法」と判断されて認証され、もう1つは「公序良俗に反する」と判断されて認証されず、異議申立を繰り返して法務大臣まで見解を求めて、さらに訴訟をしたところ、法務大臣から直接再度「公序良俗に反する」と主張された、という流れになります。
1つ目の認証された文書というのは、弁護士法に関する解釈で、非弁行為とは事件性が必要か否か?を確認するもので、それまで法務省も東京弁護士会も「司法判断がなければ分からない」と言っていたものが、私書証書の認証を得られた……つまり公的機関が準司法的判断を国家的に示したことにより新たなガイドラインが生まれ、結果的に東京弁護士会は私が認証されたことを公表した1ヶ月後に非弁行為の定義を私が認証を受けた文書の定義に沿う形で公開する運びとなりました。つまり、公証役場の判断は裁判所の判断に匹敵するという話です。
2つ目の「公序良俗に反する」と言われた文書ですが、これは「猥褻物を事前に猥褻物であると説明した人に限って見せたり配ったりすること」について違法か合法かを判断させたものです。ポイントは猥褻性について争ってるのではなく、「同意者間」であればそれは憲法的に保護される、表現の自由や知る権利が優先すると考えたためです。僕もなんのゾーニングもなく猥褻物が氾濫するのは良くないと思ってます。
このとき、法務大臣レベルまで行っても「公序良俗に反する」としか言わずに「何故」が全く説明されませんでした。
推測するに、もしこれを公証人や法務大臣が適法と判断してしまうと、これまで判例の積み重ねで決まってきた猥褻物関連の判断を、司法ではなく行政が決めることになってしまい、司法を行政が侵犯するというかなり危ういことになってしまうから、だと推測されます。また、公証人は刑法ではなく民法に反すると判断したのも、とてもよく考えられたもので、刑法と言ってしまうと直ちに刑法の合憲性みたいなものが審査されかねなかったり、国が刑法解釈をする/しない、というきわめてセンシティブな事が生じてしまうため、敢えてワイルドカード的な民法90条を持ち出したのだと思います。……ただ、国が私人間のことについて民法違反などと指摘するのは異常事態ですし、理由も述べられないのはさらに異常事態です。これは、私が行政に対して判断困難な事柄(しかし、本来的には行政が法運用してるのだから、行政も判断すべきことです)を持ち込んだことによって、フリーズしてしまい、ほぼ沈黙しつつ形式的に違法というしかない、という追い詰められた状況なのではないかと思われます。
そして法務大臣の決定を不服として、裁判においては、法務大臣と公証人の拒否判断の「取消し」、そして法務大臣と公証人の公証実施にかんする「義務付け」、さらにはこの一連の対応にかんする不当性にかんする「国家賠償」を求める訴訟を提起しました。
このうち「取消し」「義務付け」には要件があり、もし要件に合致していないとなったとしても「国家賠償」の観点からは、結局裁判所は文書の適法性を判断しないとならないことになるはずです。
この裁判は、公証人法、民法、刑法、行政法、そして憲法が交錯しており、しかも猥褻という時代によって変化する事柄、「同意者間」という従来の裁判ではなかった視点、さまざまな社会科学的な裏付けを論じており、しかも「まだ起きてないこと」を行政訴訟で争うという、一見すると……あるいは何度か考えても、直感的に理解不能で複雑怪奇なことが進行していると自分でも思います。
法律家は基本的に過去の判例に基づいて判断して実務を行いますし、法学者で公証人法をこのような視点で論じている人もまったくいません。なので、いまのところこの件に関してバイネームで言及する法律家も研究者もほとんど全くいません(確かに去年弁護士法の政府解釈を引き出してしまった事件は起こしたけどさ……)。
ただ、判決が出た暁には、ぜひさまざまな謎……行政と司法の棲み分けとは何か? 行政による司法的判断とは何か? 適法性判断は行政と司法どちらが先にすべきなのか? 裁判で沈黙してしまった国を裁判所はどう扱うのか? なとなど、未知の課題が山積みですから、専門家によって検証されると良いなと思います。
……ということで、謎は尽きないのですが、しかし公証人への依頼から法務大臣の見解が出るまで9か月、その後裁判を起こしてから結審するまで5か月、さらに判決まで3か月という期間がかかっており、形式的に却下されたり、実体的な審理がなされないということはないだろうと思っているところです。
勝てば同意者間での猥褻物取引が合法であることが確定しますし(地裁判決でも法務大臣の見解が変わるのだから政府見解が変わることになるため)、負けても何故無修正はダメなのか?の明確な理由が示されることになります。
なので、私としてはどっちに転んでも「謎」が解けるのです。
そしてその解けた「謎」は私だけでなく、表現の自由に関して研究する人や、数多くのクリエイターにとって意味のあるものになると確信しています。
なお、最初の公証人への依頼から裁判に至るまでの過程は私が構想して私が主導してやっていますが、その裏にはこの話がTwitterで話題になってから協力をしてくださった4名の有志がいます。本当にお世話になっています。
以下詳細本文
1.僕の立場
僕は今回のプロセスで、僕が提示した図版の「わいせつ性」については、「わいせつである」と思っています。そこに争いはありません。
ただし、これについて、「わいせつである」ことを予め相手に十分に伝えて、相手がそれでも見たいと言った場合については、相手に見せてもよいのではないか?と考えています。
詳しいことを書くとすごく長くなってしまいますが(さいたま地方法務局長に対する異議申し立て書 に書いてあります)、憲法上「表現の自由」と「知る権利」は最大限尊重されるべきで、これを否定できる場合というのは、何等かの人権が衝突している場合(わいせつ物については「見たくない人の権利」の保護)に限られるためです。
全員がわいせつ物を見たくて仕方がないというケースであれば、見せ合っても問題ないと思われるし、その行為を契約した書面は公証(違法無効なものは公証を受けられないから、翻って公証を受けたならば国はそれを違法無効ではないと考えたことになる)を受けられるはずです。
2.法務大臣の見解
3.ここに至るまでの経緯
※提出した書類には黒塗りはない
※公開するにあたって黒塗りにしたのは僕です。国が黒塗りにしたわけじゃないです。
4.今後の展開
ただ、現在の公証人及び国の理屈でいえば、国民の権利を蔑ろにしており、「公の秩序」のようなもので「表現の自由」を規制できるという考えは、明治憲法下の大日本帝国の考えと変わりなく、今日的な憲法学の通説からしても「おかしい」です。
5.付随的な新発見について
新発見その1 捕まらなくても「わいせつ物」か否かの判断を国から得られる
新発見その2 準抽象的違憲訴訟ができる
新発見その3 公証のプロセスは異議申し立てしてもほぼ非公開
6.裁判進行しています!
ぜひカンパをお願いします。
答弁書
国側は公証は処分ではないと言って争う姿勢のようですが、そうはいっても応諾のある行為なのだから、処分だと思うのですが……。
それとは別に国賠の観点で、公序良俗に反すると主張していますが、公序良俗に反する理由を述べられていません。
あと、国側としては今回の訴訟は処分の取り消し・義務付け訴訟にはなっていないという反論をしていて、とはいえ国賠請求については受けざるを得ないという姿勢でした。私としては処分性があると思っていますが、万が一にでも処分性が認められなかったときのことを考えると、国賠を一緒に請求しておいてよかったと思います(そこまで考えてなかった)。
傍聴人は2名いらっしゃいました。1名は友人で、もう1名はTwitterでこの裁判を知った方のようでした。
裁判官は3名、国側の担当者も3名。原告は私1名でした。
開廷に先立ち、本人確認が必要だったのでマイナンバーカードを提出しました。
裁判では、訴状陳述、答弁書陳述だけが主ですが、私はあらかじめ準備していた口頭弁論のための原稿を読み上げさせていただきました。
口頭弁論読み上げ原稿 (誤字が一部あったのでWEB掲載にあたり訂正しました)
裁判後、読み上げ原稿について、裁判所も国も欲しがっていたので印刷したものをお渡ししました(1部しかなかったので、裁判所でコピーして国に渡したようです)。
次回期日ですが、原告(こちら)の準備書面提出が4/21、第二回口頭弁論が5/28(11時30分/さいたま地裁105号法廷)です。
国側はこちらの準備書面に対する準備に2カ月欲しいと主張していましたが、裁判長がそれは長いのでということで、こちらの準備書面提出後の期日を1カ月に設定しました。
なお、国側の担当者ですが、すごい怖いというか強気という感じでもなく、なんとなく困ったような様子の雰囲気を感じました。まあ、そりゃそうですよね。
準備書面があらかた完成して、一応清書したデータが完成しました。
このあと、誤字脱字などがないかなど細かくチェックして、その他必要な書類を整えたら来週くらいには裁判所と被告に送付する予定です。
ただ、この点が気になって裁判所に電話して聞いてみたところ、指定代理人の追加については相手方に通知義務があるわけではないらしく、追加の連絡は裁判所だけにすればよいそうで、送達先はその知らせを出した代理人(新しい人?)に送ればよいそうです。
ただ、自分は5月半ばから末まで休暇をもらう予定なので、その間に被告から準備書面をもらっても、裁判期日直前まであまり対応できません。
なので、次の動きは裁判期日直前になるかと思います。
被告準備書面が届かないので裁判所に電話して確認したら、今朝法務局から電話があったらしく、今回被告準備書面の提出は「無い」そうです。国はもう反論できない、もしくは戦略的に反論しないを選択したようです。
国の準備書面提出は7月21日でしたが、裁決性については法令も参照すべきだと考えたため、こちらの考えをまとめた準備書面を先んじて送付することにしました。
被告準備書面(7/21締め切り)が到着しました。
裁判所からの釈明(裁決でないことの論拠)について正面から答えられていない気がするのですが、このあと精読して口頭弁論までにこちらの準備書面を準備したいと思います。
7.応援やご意見の募集 カンパのお願い
1.Twitterのフォローとアドバイスの送付
私のアカウントは @hiroko_tb です。
今後の訴訟に関する情報も随時発信していく予定なので、フォローください。
また、訴訟に関するアドバイスなどあれば、ぜひリプライやDMでお送りください。
今回わかりましたが、印紙代だけで数万円かかってしまいます。
カンパ代は訴訟費用や関連する生活費に充てます。
Y.O.様 ギフトカード
おめが様 ギフトカード
だみん様 ギフトカード
藤田様 本
とみとみ様 ギフトカード
T.T.様 ギフトカード
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R.N.様 ギフトカード
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匿名様 ギフトカード
STKR様 ギフトカード
岡部典孝様 支援金
匿名様 ギフトカード
余談
超訳ごめんなさい
— 椎名かおるこ🤘 in VRC (@ruko666VRC) December 27, 2024
◇なんでだめなの?
◆だめだからだめ
◇だからなんで?
◆だめって言う裁量があるから
◇でも理屈がおかしいよね?濫用では?
◆だめです棄却決定
ところで図3の修正範囲は「大きい」ですね……… https://t.co/fu883hTDGB
はい。大きいです。大きいのを今の時点で見せられなくてすみません。
絶対裁判に勝って大きいの見せられるように頑張ります。
1 コメント
ガンバレー!多くの人は無修正が好きだ
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